前壁心筋梗塞で最も特異的な血液検査|第103回医師国家試験D58

第103回医師国家試験 D58(2009年)

正答:g

問題

60歳の男性。1時間以上持続する胸痛を主訴に来院した。10年前から高血圧症にて内服治療中である。胸部エックス線写真に異常を認めない。12誘導心電図(別冊No.27)を別に示す。

障害を起こしている臓器に最も特異性の高い血液検査はどれか。

a.白血球数

b.CRP

c.AST

d.ALT

e.LD〈LDH〉

f.クレアチンキナーゼ〈CK〉

g.トロポニンT

h.ミオグロビン

別冊No.27 12誘導心電図。V1〜V4でST上昇と高いT波が目立つ。
別冊No.27 / 出典:厚生労働省・第103回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

1時間以上続く胸痛で、心電図はV1〜V4でST上昇と高いT波が目立つので、急性前壁心筋梗塞を考えます。障害臓器は心筋です。公式正答はg(変則肢a〜hの8択)です。心筋トロポニンT・Iは心筋に特異的で、急性冠症候群の診断の第一のバイオマーカーです。ただしトロポニン上昇は心筋傷害を示すだけで原因までは示さず、急性冠症候群以外の心疾患や非心疾患でも上がるので、症状・心電図・経時変化と合わせて判断します。

画像の見方

12誘導心電図。V2・V3を中心にV1〜V4でST上昇と高いT波を認め、V5・V6の変化は軽い。肢誘導の変化は軽度。

各選択肢の検討

a.白血球数。誤り。感染や炎症など多くの状態で変動する値で、心筋に特異的ではありません。

b.CRP。誤り。感染や炎症の非特異的な指標で、心筋に特異的ではありません。

c.AST。誤り。心筋のほか肝臓、骨格筋、腎臓、赤血球、膵臓にもあり、心筋に特異的ではありません。

d.ALT。誤り。肝障害に比較的特異的な指標で、心筋の評価には使いません。

e.LD〈LDH〉。誤り。多くの組織に含まれ、特異性の低い指標です。

f.クレアチンキナーゼ〈CK〉。誤り。心筋梗塞で上がりますが、骨格筋の障害(横紋筋融解症など)でも著増します。

g.トロポニンT。正しい。心筋トロポニンT・Iは心筋に特異的な構造蛋白で、急性冠症候群の診断に第一に使う指標です。

h.ミオグロビン。誤り。骨格筋にも多く、骨格筋の崩壊でも血中に増えるので特異性は低い指標です。

覚えるポイント

心筋特異性が最も高いのはトロポニンT・I。CK・ミオグロビンは骨格筋でも上がる。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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