第103回医師国家試験 D57(2009年)
正答:f
問題
55歳の女性。息切れを主訴に来院した。30歳時から心拡大と不整脈とを指摘されていた。数年前から階段を昇るときに息切れを自覚するようになり次第に増悪した。心エコー図(別冊No.26A、B)を別に示す。
心臓の聴診所見はどれか。
a.(図a)
b.(図b)
c.(図c)
d.(図d)
e.(図e)
f.(図f)
g.(図g)



正答の理由
心エコーでは左房とみられる腔が大きく、Mモードで僧帽弁の拡張期の動きが遅く平坦な台形に見えます。中年女性の慢性の息切れと、若年から指摘された不整脈も合わせて、リウマチ性の僧帽弁狭窄症を考えます。公式正答はf(変則肢a〜gの7択)です。聴診ではⅠ音亢進、拡張早期の開放音、それに続く低調な拡張期ランブルが特徴で、fだけがこれを描いています。
画像の見方
選択肢図は問題冊子PDF(tp0422-1d.pdf)の物理35頁から切り出した(Ⅰ音・Ⅱ音のラベルと点線を含む)。26A:断層像で大きな無エコー腔(左房とみられる)と線状の弁尖様エコー。26B:Mモードで僧帽弁とみられるエコーが拡張期に緩やかに下行する台形様の動きを示し、拡張期後退速度の低下に見える。原本の解像度では弁口面積や石灰化は読めない。
各選択肢の検討
a.(図a)。誤り。収縮早期の小さなひし形の雑音で、拡張期に雑音がありません。無害性の雑音などを想定した波形と考えられます。
b.(図b)。誤り。収縮中期にピークをもつ漸増漸減の大きな雑音で、大動脈弁狭窄のような駆出性雑音の形です。
c.(図c)。誤り。Ⅱ音に向かって強まる収縮後期の雑音で、僧帽弁逸脱の収縮後期雑音に近い形です。
d.(図d)。誤り。Ⅰ音からⅡ音まで同じ強さの全収縮期雑音で、僧帽弁閉鎖不全に代表される形です。
e.(図e)。誤り。Ⅱ音のあとの拡張期雑音で、開放音が描かれていません。fとの違いはこの開放音です。
f.(図f)。正しい。亢進したⅠ音、Ⅱ音に続く開放音、拡張中期のランブルが描かれ、僧帽弁狭窄に一致します。
g.(図g)。誤り。Ⅱ音を越えて続く連続性雑音で、動脈管開存のようなシャントの形です。
覚えるポイント
僧帽弁狭窄=Ⅰ音亢進+開放音+拡張中期ランブル。eとfの違いは開放音。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Mitral Stenosis – MSD Manual Professional Edition
- Cardiac Auscultation – MSD Manual Professional Edition
- Mitral Valve Prolapse (MVP) – MSD Manual Professional Edition
- Mitral Regurgitation – MSD Manual Professional Edition
- Aortic Stenosis – MSD Manual Professional Edition
- Patent Ductus Arteriosus (PDA) – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。