視力低下を来した副鼻腔術後の嚢胞(粘液嚢胞)|第103回医師国家試験D49

第103回医師国家試験 D49(2009年)

正答:e

問題

74歳の女性。左眼の視力低下を主訴に来院した。1週前から左眼奥の鈍痛があった。悪心と嘔吐とはない。意識は清明。鼻閉、鼻漏および頬部の腫脹や疼痛はない。約50年前に副鼻腔炎に対する手術を受けた既往がある。副鼻腔単純CT(別冊No.21A)と頭部単純MRIのT1強調像(別冊No.21B)とを別に示す。

対応として適切なのはどれか。

a.経過観察

b.抗菌薬投与

c.上顎洞穿刺

d.眼窩減圧術

e.鼻内篩骨洞手術

別冊No.21A 副鼻腔単純CT横断像(骨条件)。左後部篩骨洞から蝶形骨洞の領域に、含気の消えた円形の軟部濃度の領域がある。
別冊No.21A / 出典:厚生労働省・第103回D別冊(原本の該当ページ)
別冊No.21B 頭部単純MRI T1強調横断像。左眼窩尖の内側に境界明瞭な楕円形の高信号病変がある。
別冊No.21B / 出典:厚生労働省・第103回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

約50年前の副鼻腔手術の既往があり、CTとMRIで左眼窩尖の内側に境界明瞭な嚢胞性病変を認めるので、術後に生じた副鼻腔粘液嚢胞(mucocele)による圧迫性視神経障害を考えます。粘液嚢胞は洞口の閉塞で分泌物が貯留して生じ、手術も原因の1つです。蝶形骨洞の症例報告では視神経障害が急に進み、内視鏡的開窓・排液で回復しており、速やかな手術が重要とされています。公式正答はeです。

画像の見方

21A:骨条件のCTで、左後部篩骨洞〜蝶形骨洞の領域に含気の失われた円形の領域がある(画像のL側)。21B:T1強調像で、同じ部位に左眼窩尖へ接する境界明瞭な楕円形の高信号病変がある。視神経との接触の程度はこの1断面だけでは断定しない。

各選択肢の検討

a.経過観察。誤り。嚢胞の圧迫で視力低下が起きており、放置すると視機能を失う恐れがあります。

b.抗菌薬投与。誤り。鼻漏や頬部の痛みがなく、問題は感染より嚢胞の圧迫です。

c.上顎洞穿刺。誤り。病変は左後部篩骨洞から蝶形骨洞の領域で、上顎洞を穿刺しても届きません。

d.眼窩減圧術。誤り。眼球突出など眼窩内圧上昇を示す記載はなく、原因の嚢胞を開放して圧迫を除くのが治療です。

e.鼻内篩骨洞手術。正しい。内視鏡下に嚢胞を開窓・排液し、視神経への圧迫を解除します。

覚えるポイント

副鼻腔手術の数十年後の視力低下は粘液嚢胞を疑う。内視鏡下に開放して早く減圧する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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