第103回医師国家試験 D47(2009年)
正答:a
問題
90歳の男性。頭部の皮疹を主訴に来院した。7か月前に頭部に紫紅色斑が出現し、次第に拡大、隆起し、出血するようになった。頭部の写真(別冊No.20A)と同部の病理組織H-E染色標本(別冊No.20B)とを別に示す。
診断はどれか。
a.血管肉腫
b.グロムス腫瘍
c.海綿状血管腫
d.毛細血管拡張性肉芽腫
e.Kasabach-Merritt症候群


正答の理由
90歳の頭部に紫紅色斑が出現し、数か月で拡大・隆起・出血しています。写真では境界不明瞭な暗紫色斑が多発し、組織では不整な血管腔を腫大した異型内皮細胞が裏打ちしています。高齢者の頭部血管肉腫です。公式正答はaです。初期は打撲や蜂窩織炎に見えることがあり、抗菌薬に反応しない紫色の頭部病変は早く生検します。
画像の見方
20A:頭頂部に痂皮を伴う暗紫色の隆起性病変、周囲に境界不明瞭な紫紅色斑が多発。20B:膠原線維を分け入るように不整形の血管腔が広がり、核の腫大した異型内皮細胞が内腔を裏打ちする。
各選択肢の検討
a.血管肉腫。正しい。高齢者の頭部・顔面に好発する悪性血管性腫瘍です。紫斑様に拡大し、異型内皮細胞が裏打ちする不整な吻合性血管腔が特徴です。
b.グロムス腫瘍。誤り。指趾の爪下に多い良性腫瘍で、激痛・圧痛・寒冷過敏が特徴です。
c.海綿状血管腫。誤り。良性の血管病変で、本例の異型内皮細胞が不整な血管腔をつくって広がる像や、数か月で拡大する紫斑の経過に合いません。
d.毛細血管拡張性肉芽腫。誤り。分葉状毛細血管腫とも呼ばれる良性の反応性病変です。多発して広がる紫斑や、図の異型内皮細胞の所見に合いません。
e.Kasabach-Merritt症候群。誤り。カポジ型血管内皮腫などの血管腫瘍に高度の血小板減少と凝固異常が合併する病態で、これらの腫瘍は主に乳幼児期に発症します。
覚えるポイント
高齢者の頭部の拡大する紫斑=血管肉腫。異型内皮細胞の吻合性血管腔、CD31陽性。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Primary cutaneous angiosarcoma of the scalp initially misdiagnosed as cellulitis in a 95-year-old Asian man: A case report
- Glomus tumor of the right little finger: a case report and review of diagnostic challenges
- Pyogenic Granuloma of the Dorsum of the Tongue in a Child: A Case Report and Literature Review
- Kasabach-Merritt Phenomenon: Classic Presentation and Management Options
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。