脳動静脈奇形|第103回医師国家試験D38

第103回医師国家試験 D38(2009年)

正答:c

問題

30歳の女性。発作性に起こる頭痛と右下肢のしびれ感とを主訴に来院した。神経学的には異常を認めない。頭部単純MRIのT1強調像(別冊No. 14A)と左頸動脈造影写真側面像(別冊No. 14B)とを別に示す。

診断はどれか。

a.もやもや病

b.静脈洞血栓症

c.脳動静脈奇形

d.硬膜動静脈瘻

e.Sturge-Weber症候群

別冊No.14A 頭部単純MRI T1強調横断像。画像の右側の後方、大脳縦裂の近くに、低信号の蛇行した構造の集まりがある。
別冊No.14A / 出典:厚生労働省・第103回D別冊(原本の該当ページ)
別冊No.14B 左頸動脈造影側面像。頭蓋の上方後部に濃く染まる異常血管の塊があり、頭蓋内の血管と太い導出血管が描出されている。
別冊No.14B / 出典:厚生労働省・第103回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

MRIでは左側の後方、大脳縦裂近くの脳実質に、血流による無信号(flow void)とみられる低信号の集まりがあります。左頸動脈造影では頭頂部付近に異常血管の塊(ナイダス)が濃染し、拡張した血管が上矢状洞の方向へ連なります。動脈と静脈が毛細血管を介さず直接つながる脳動静脈奇形の像です。頭痛やけいれんは出血以外の症状として知られ、左半球の内側後方の病変は右下肢の症状とも矛盾しません。公式正答はcです。発作性のしびれがけいれん発作か虚血かは問題文からは決められません。

画像の見方

No.14Aでは画像の右側(放射線科の通常表示なら左半球。左右の標識はなし)の後方の大脳縦裂近くに、低信号の蛇行構造の集まりがあり、flow voidを疑います。後方の正中付近にも低信号の構造があります。No.14Bは側面像で、下方に内頸動脈の蛇行部、上方後部に濃い血管塊があります。血管塊の周囲に太い血管が連なり、上方の矢状方向に太い帯状の造影域が見え、導出静脈と上矢状洞への早期流出を疑います。1枚の静止像なので撮影時相と流入動脈の同定は断定しません。

各選択肢の検討

a.もやもや病。誤り。内頸動脈終末部の狭窄・閉塞と脳底部の異常血管網が特徴です。本例の造影では内頸動脈から末梢の枝が描出され、円蓋部の血管塊がみられます。

b.静脈洞血栓症。誤り。静脈洞の閉塞による疾患で、異常血管の塊は作りません。

c.脳動静脈奇形。正しい。流入動脈、ナイダス、導出静脈の3要素からなり、脳血管造影が診断の標準です。

d.硬膜動静脈瘻。誤り。硬膜内の動静脈短絡で、硬膜の動脈が関与します。本例は脳実質内にナイダスが見えます。

e.Sturge-Weber症候群。誤り。顔面のポートワイン母斑と緑内障、軟膜血管腫を特徴とする疾患です。顔面の所見の記載がありません。

覚えるポイント

脳実質のflow voidの集まりと造影でのナイダス+導出静脈は脳動静脈奇形。診断の標準は脳血管造影。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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