褥瘡の壊死組織への対応|第103回医師国家試験D36

第103回医師国家試験 D36(2009年)

正答:a

問題

74歳の男性。腰部の皮疹のため搬入された。2か月前から脳梗塞のため他院に入院していた。1か月前に右大転子部に紅斑が生じたが放置していた。2週前から急速に潰瘍化し黒色に変色してきた。右大転子部の写真(別冊No. 12)を別に示す。

まず行うのはどれか。

a.デブリドマン

b.抗凝固薬投与

c.抗真菌薬塗布

d.副腎皮質ステロイド塗布

e.非ステロイド性抗炎症薬投与

別冊No.12 右大転子部の写真。中央に黒色の壊死組織があり、その周りを黄緑色の組織が囲み、さらに外側に発赤がある。
別冊No.12 / 出典:厚生労働省・第103回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

脳梗塞で臥床が続く患者の大転子部という骨突出部に、紅斑から潰瘍、黒色壊死へ進んだ経過で、褥瘡です。写真でも黒色の壊死組織を黄緑色の壊死組織が囲み、周囲に発赤があります。創の管理は圧迫の除去に加えて洗浄、デブリドマン、ドレッシングが基本で、壊死組織を除くことで深さも評価できます。選択肢のうち創に対する処置はデブリドマンだけで、公式正答はaです。乾燥して安定した黒色壊死で波動がない病変に、深さの判定のためだけに行うものではない点は区別します。

画像の見方

円形に近い潰瘍の中央に黒褐色の壊死組織があり、その周囲を黄緑色の壊死組織が環状に囲みます。下縁の一部では組織が浮いて見え、外周には発赤が広がります。深さは壊死組織に覆われて判定できません。発赤が感染によるかどうかは写真だけでは断定しません。

各選択肢の検討

a.デブリドマン。正しい。壊死組織の除去は創の管理の基本です。本例は急速に進行し、周囲に発赤を伴うので、感染の有無も確認しながら行います。

b.抗凝固薬投与。誤り。血栓性疾患の治療で、褥瘡の治療ではありません。出血のリスクもあります。

c.抗真菌薬塗布。誤り。真菌感染を示す所見はなく、病態が圧迫による虚血と壊死です。

d.副腎皮質ステロイド塗布。誤り。炎症性皮膚疾患の薬で、創傷治癒を妨げるおそれがあり、褥瘡の治療にはなりません。

e.非ステロイド性抗炎症薬投与。誤り。疼痛の軽減には使えますが、壊死組織への処置にはなりません。

覚えるポイント

骨突出部の黒色壊死は褥瘡。除圧とともに洗浄・デブリドマン・ドレッシングを行う。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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