第103回医師国家試験 D34(2009年)
正答:a
問題
45歳の男性。けいれん発作を主訴に来院した。昨夜、左下肢から全身に波及するけいれん発作が起こり数分でおさまった。神経学的には異常を認めない。頭部造影MRIのT1強調冠状断像(別冊No. 10A)と矢状断像(別冊No. 10B)とを別に示す。
診断はどれか。
a.髄膜腫
b.髄芽腫
c.胚細胞腫
d.神経膠腫
e.転移性脳腫瘍


正答の理由
左下肢に始まるけいれんは、右大脳半球の下肢運動野付近(傍矢状部)の刺激を示唆します。MRIでは大脳鎌に接する部位に、境界明瞭で均一に強く増強される分葉状の腫瘤があります。髄膜腫は硬膜のある場所から生じ、円蓋部の静脈洞近傍が好発部位で、傍矢状部・大脳鎌の腫瘍は対側下肢から始まる症状をきたします。公式正答はaです。
画像の見方
No.10Aでは画像の左側(放射線科の通常表示なら右半球。左右の標識はなし)の大脳鎌と円蓋部に接して、境界明瞭で分葉状の腫瘤が均一に強く増強されています。No.10Bでは頭頂部の硬膜側に同じ腫瘤が見えます。T1強調像の範囲で腫瘤の周囲に大きな嚢胞は見えませんが、浮腫の評価には限界があります。硬膜尾徴候の有無と骨の変化は誌面からは断定しません。
各選択肢の検討
a.髄膜腫。正しい。硬膜側に広く接し、均一に増強される脳実質外腫瘍の形です。発生部位と症状も合います。
b.髄芽腫。誤り。小児に多く、後頭蓋窩に発生する腫瘍です。本例は45歳の大脳円蓋部の病変です。
c.胚細胞腫。誤り。松果体部や鞍上部の正中に多い小児・若年の腫瘍で、部位が異なります。
d.神経膠腫。誤り。脳実質から発生し、びまん性に浸潤することが多い腫瘍です。本例のような境界明瞭で硬膜に接した均一な増強とは異なります。
e.転移性脳腫瘍。誤り。脳転移の80%以上は多発です。本例は単発で硬膜に接し、原発巣の記載もありません。
覚えるポイント
硬膜に接して均一に増強される境界明瞭な腫瘤は髄膜腫。傍矢状部なら対側下肢から症状が始まる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Meningiomas – Oncology – MSD Manual Professional Edition
- Overview of Central Nervous System Tumors – Oncology – MSD Manual Professional Edition
- Medulloblastoma in Children – Oncology – MSD Manual Professional Edition
- Gliomas – Oncology – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。