全身性エリテマトーデス網膜症の軟性白斑|第103回医師国家試験D28

第103回医師国家試験 D28(2009年)

正答:b

問題

32歳の女性。右眼の視力低下を主訴に来院した。1年前から両上肢の関節の朝のこわばり、発熱および蝶形紅斑があった。1か月前から症状が増悪してきた。矯正視力は右眼0.8、左眼1.0である。右眼の眼底写真(別冊No. 6)を別に示す。

みられるのはどれか。

a.斑状出血

b.軟性白斑

c.網膜新生血管

d.漿液性網膜剝離

e.桜実紅斑〈cherry-red spot〉

別冊No.6 右眼の眼底写真。視神経乳頭の周囲と血管アーケードに沿って、境界のぼやけた白色の斑が多数ある。
別冊No.6 / 出典:厚生労働省・第103回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

関節症状、発熱、蝶形紅斑から全身性エリテマトーデス(SLE)の活動性上昇を考えます。眼底写真では視神経乳頭の周囲から血管アーケードに沿って、境界のぼやけた白色の斑が多数みられ、軟性白斑(綿花様白斑)です。SLEの網膜症は糖尿病網膜症や高血圧網膜症に似た微小血管障害が最も多く、初期所見が小さな網膜内出血と綿花様白斑です。公式正答はbです。

画像の見方

右眼の眼底写真で、視神経乳頭は画像の右寄りにあります。乳頭の周囲から上下の血管アーケードに沿って、境界のぼやけた白色〜淡黄色の斑が多数みられます。明らかな斑状出血や新生血管は写真上確認できません。黄斑部は暗く見え、白濁に囲まれた赤色斑の形ではありません。網膜の浅い剝離の有無は1枚の写真では判断しません。

各選択肢の検討

a.斑状出血。誤り。SLEでも網膜出血は起こりますが、この写真で目立つのは白色の病変で、明らかな斑状の出血は確認できません。

b.軟性白斑。正しい。境界不明瞭な白い斑が網膜の神経線維層に散在します。微小血管閉塞による虚血を示す所見で、全身の疾患活動性の評価につながります。

c.網膜新生血管。誤り。SLEの重い血管閉塞で起こることがありますが、乳頭や網膜に異常な新生血管は写真上確認できません。

d.漿液性網膜剝離。誤り。ループス脈絡膜症でみられることがありますが、写真では黄斑部の網膜の隆起は判断できず、主所見は白斑です。

e.桜実紅斑〈cherry-red spot〉。誤り。網膜中心動脈閉塞などで、白濁した網膜の中で黄斑が赤く見える所見です。本例の黄斑は白濁に囲まれておらず、矯正視力も右0.8と比較的保たれています。

覚えるポイント

SLE網膜症の代表は綿花様白斑(軟性白斑)。境界がぼやけた白い斑を見つける。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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