胃粘膜下腫瘍(GIST)|第103回医師国家試験D26

第103回医師国家試験 D26(2009年)

正答:d

問題

40歳の男性。健康診断の上部消化管造影で異常を指摘され来院した。上部消化管内視鏡写真(別冊No. 5A)と生検組織のH-E染色標本(別冊No. 5B)とを別に示す。

診断はどれか。

a.胃ポリープ

b.胃癌

c.胃MALTリンパ腫

d.GIST〈gastrointestinal stromal tumor〉

e.迷入膵

別冊No.5A 上部消化管内視鏡写真。周囲と同じ色調の粘膜に覆われた、なだらかな半球状の隆起がある。
別冊No.5A / 出典:厚生労働省・第103回D別冊(原本の該当ページ)
別冊No.5B 生検組織H-E染色。紡錘形の核をもつ細胞が束をなして交錯している。
別冊No.5B / 出典:厚生労働省・第103回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

内視鏡では、表面が周囲と同様の粘膜に覆われたなだらかな隆起があり、潰瘍は見えず粘膜下腫瘍の形です。組織には紡錘形の核をもつ細胞が束をなして交錯し、腺管構造はありません。GISTの約70%は紡錘形細胞型で、内視鏡では正常粘膜に覆われた粘膜下腫瘍として見えるため、公式正答はdです。平滑筋腫や神経鞘腫もH-E染色だけでは区別できず、確定にはKITなどの免疫染色が必要ですが、選択肢の中ではGISTが最も合います。

画像の見方

No.5Aは表面が平滑な半球状の隆起で、粘膜面は周囲と同様の色調です。白い点状の部分は光の反射とみられ、潰瘍や陥凹は写真の範囲で見えません。部位は写真からは特定しません。No.5Bは紡錘形の核をもつ細胞が束をなして走り、断面の向きにより円形にみえる核も混じります。腺管は見えず、核分裂像の数は評価しません。

各選択肢の検討

a.胃ポリープ。誤り。ポリープは粘膜から発生する隆起で、表面の腺窩上皮の性状が変わります。本例は粘膜下の紡錘形細胞腫瘍です。

b.胃癌。誤り。癌なら異型腺管や印環細胞、不整な粘膜面や潰瘍がみられます。写真の範囲では腺癌の成分を認めません。

c.胃MALTリンパ腫。誤り。小型リンパ球様細胞の浸潤が主体で、束をなす紡錘形細胞の増殖とは異なります。

d.GIST〈gastrointestinal stromal tumor〉。正しい。胃の粘膜下腫瘍の形と紡錘形細胞の増殖に合います。確定は免疫染色で、切除可能な原発例は外科切除が主な治療です。

e.迷入膵。誤り。粘膜下の隆起を作る点は似ますが、組織に膵の腺房や導管がみられるはずです。標本にはありません。

覚えるポイント

正常粘膜に覆われた胃の粘膜下腫瘍+紡錘形細胞はGISTを考える。確定はKITなどの免疫染色。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第103回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました