第103回医師国家試験 B6(2009年)
正答:c
問題
20〜40歳健常者と比較した65歳以上健常者の呼吸数で正しいのはどれか。
a.約40%多い。
b.約20%多い。
c.ほぼ同じ。
d.約20%少ない。
e.約40%少ない。
正答の理由
公式正答はcです。Tobinらの呼吸パターン測定(1983年)は、正常者の呼吸パターンの平均値は年齢の影響を受けず、高齢者では規則性が乱れると報告しています。ドイツの一般住民調査KORA-FF4(心電図から算出)でも、呼吸数の中央値は最年少群の39〜48歳で男15.37・女15.80回/分、69〜78歳で男16.26・女16.06回/分と差は約2〜6%で、79〜88歳でも男16.91・女17.07回/分(約8〜10%増)でした。加齢で肺の弾性や胸郭のコンプライアンスは低下しますが、分時換気量は若年者と同程度とされます。一方、高齢者は呼吸数を増やして換気を保つとする総説もあり、わずかな増加はありえます。なお、出題の年齢区分(20〜40歳と65歳以上)どおりに健常者を比べた数値は確認できていません。
各選択肢の検討
a.約40%多い。誤り。上記の調査では最高齢の79〜88歳でも約1割の増加です。呼吸数の高値は重い有害事象の予測因子とされ、高齢者でも軽視せず評価します。
b.約20%多い。誤り。呼吸数を増やして換気を保つとする総説はありますが、上記の調査の差は65歳前後を含む59〜78歳で数%でした。
c.ほぼ同じ。正しい。呼吸パターンの平均値は年齢の影響を受けないとの報告があり、一般住民の調査でも差はわずかです。
d.約20%少ない。誤り。上記の調査で高齢群の中央値は39〜48歳群より少なくありません。
e.約40%少ない。誤り。dと同じく、高齢で呼吸数が大きく減るという所見はありません。
覚えるポイント
安静時の呼吸数は加齢でほとんど変わらない(増えてもわずか)。高齢者の大きな増加は病的変化として評価する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Breathing patterns. 1. Normal subjects(Tobin MJ, et al. Chest 1983)PubMed抄録
- Respiratory rate and its associations with disease and lifestyle factors in the general population – results from the KORA-FF4 study
- Effect of aging on respiratory system physiology and immunology
- Vital Signs in Older Patients: Age-Related Changes
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。