第103回医師国家試験 A51(2009年)
正答:b
問題
出生直後の新生児。在胎37週、体重3,120gで出生した。啼泣と自発呼吸とは弱々しく、マスクで酸素を投与したが全身チアノーゼが強いため気管挿管された。挿管後100%酸素を投与してもチアノーゼは改善しない。胸腹部エックス線写真(臥位)(別冊No.17)を別に示す。
最も合併しやすいのはどれか。
a.脳奇形
b.肺低形成
c.先天性心疾患
d.消化管閉鎖
e.腎無形成

正答の理由
公式正答はbです。出生直後からの高度チアノーゼと、左胸腔に腸管ガスが入り縦隔が右へ押された写真から、左の先天性横隔膜ヘルニアと判断します。胎児期に腹部臓器が胸腔へ入るため肺の発達が妨げられ、肺低形成と肺高血圧を来します。これらが予後を左右し、酸素や人工呼吸でも酸素化が改善しにくい理由です。
画像の見方
左胸腔に腸管のガス像が多数あり、心陰影・縦隔は右へ偏位している。
各選択肢の検討
a.脳奇形。誤り。肺低形成のように本症の病態から必ず生じるものではありません。
b.肺低形成。正しい。肺低形成は本症の中心的な病態で、肺高血圧とともに予後を決めます。
c.先天性心疾患。公式正答ではない。先天性心疾患も重要な合併奇形で、約半数に他の奇形を伴うとする記載もあります。ただし、本問は写真の病態から直接生じる肺低形成を問うています。
d.消化管閉鎖。誤り。腸管ガスは胸腔内まで写っており、閉鎖を示す所見は読めません。本問の中心の病態でもありません。
e.腎無形成。誤り。写真から腎無形成を示す所見は読めず、本症の病態から直接生じるものでもありません。
覚えるポイント
胸腔内腸管ガス+縦隔対側偏位+治らないチアノーゼは先天性横隔膜ヘルニア。肺低形成と肺高血圧が本体。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Diaphragmatic Hernia – MSD Manual Professional Edition
- Diagnosis and management of congenital diaphragmatic hernia: a clinical practice guideline
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。