第103回医師国家試験 A35(2009年)
正答:b
問題
53歳の男性。激しい胸痛のため搬入された。12誘導心電図(別冊No. 11)を別に示す。入院3日後、突然呼吸困難が出現した。新たな収縮期心雑音とcoarse cracklesとを聴取する。
考えられるのはどれか。
a.左室瘤
b.心室中隔穿孔
c.左室自由壁破裂
d.左室流出路狭窄
e.左室リモデリング

正答の理由
心電図は胸部誘導の広い範囲でST上昇を示し、広範な前壁の急性心筋梗塞です。その3日後に突然の呼吸困難と新たな収縮期雑音、肺うっ血を示すcoarse cracklesが出ており、機械的合併症を考えます。中隔穿孔は突然の大きな収縮期雑音で始まり、低血圧や左心不全を伴います。選択肢にはありませんが乳頭筋断裂も同じ症状を起こし、こちらは下後壁梗塞に多いとされます。確認は心エコーで行います。公式正答はbです。
画像の見方
四肢誘導に大きなST変化は目立たず、V1〜V4に深い下向きのQRSと著明なST上昇があり、V5にも軽度のST上昇がみられます。V6は比較的保たれています。誌面の小さな図なので、ST上昇の値は計測していません。右端に較正波形があります。
各選択肢の検討
a.左室瘤。誤り。梗塞部の壁が膨らむ合併症で、数日〜数か月で生じますが、突然の新たな収縮期雑音と呼吸困難の説明になりません。
b.心室中隔穿孔。正しい。左室から右室への短絡で肺うっ血が急に悪化します。死亡率が高く、外科修復やカテーテル閉鎖を検討します。
c.左室自由壁破裂。誤り。突然の血圧低下と心タンポナーデを起こし、ほぼ致死的です。新たな収縮期雑音と肺の所見は合いません。
d.左室流出路狭窄。誤り。肥大型心筋症などでみられる病態で、前壁梗塞の3日後に突然起こる合併症としては典型ではありません。
e.左室リモデリング。誤り。梗塞後に時間をかけて心室の形が変わる過程で、突然の新雑音は起こしません。
覚えるポイント
梗塞後数日で突然の呼吸困難+新たな収縮期雑音は機械的合併症。中隔穿孔と乳頭筋断裂を鑑別する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Complications of Acute Coronary Syndromes – Cardiology – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。