第102回医師国家試験 I77(2008年)
正答:d
問題
29歳の男性。両側の股関節痛を主訴に来院した。6か月前から誘因なく両側の股関節痛が出現し、徐々に増強して跛行を自覚するようになった。既往歴は特にない。飲酒はウィスキー360ml/日を6年間。
股関節エックス線単純写真正面像(別冊No.18)を別に示す。
考えられるのはどれか。
a.骨髄腫
b.Ewing肉腫
c.変形性股関節症
d.大腿骨頭壊死症
e.神経病性関節症

正答の理由
29歳の男性で誘因なく6か月かけて両側の股関節痛が増強し跛行が出ており、ウィスキー360ml/日を6年間という多量飲酒歴があります。骨壊死は大腿骨の上端(股関節のボールにあたる部分)に最も多く起こり、30〜40歳代に最も多く、過度の飲酒は危険因子とされます。画像では両側の大腿骨頭に不均一な硬化像があり、骨破壊や骨膜反応はありません。公式正答はdです。
画像の見方
別冊No.18は股関節部の単純エックス線正面像で、両側の大腿骨頭内に斑状・帯状の不均一な濃度上昇(硬化像)がある。骨頭の外側の輪郭と関節裂隙は保たれているようにみえ、骨破壊像・骨膜反応・骨折線・骨棘は指摘できない。恥骨部に卵円形の高濃度域が重なっており、位置と形から生殖腺の防護具と考えられるが、写真から材質までは断定しない。本画像の解像度では骨頭の圧潰や帯状硬化像の範囲までは断定しない。
各選択肢の検討
a.骨髄腫。誤り。両側の大腿骨頭に限局した不均一な硬化像という所見と、多量飲酒を背景とする29歳男性の経過には合いません。
b.Ewing肉腫。誤り。骨の悪性腫瘍で、本図には骨破壊像や骨膜反応がなく、両側対称に骨頭だけが侵される形でもありません。
c.変形性股関節症。誤り。本図では関節裂隙の明らかな狭小化や骨棘を指摘できません。
d.大腿骨頭壊死症。正しい。骨壊死は大腿骨上端に最も多く、30〜40歳代に多く、過度の飲酒が危険因子として挙げられています。多量飲酒歴と両側の骨頭の硬化像に合います。
e.神経病性関節症。誤り。高度の骨破壊と関節の変形を伴う病態で、本図の所見とも、感覚障害を示す記載のない病歴とも合いません。
覚えるポイント
若年者の誘因のない両側股関節痛+多量飲酒=大腿骨頭壊死症。ステロイドも危険因子。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。