第102回医師国家試験 I76(2008年)
正答:e
問題
26歳の男性。腹痛と血便とを主訴に来院した。5日前から左下腹部痛と粘血便とを認めた。1か月前にインド旅行をした。
身長170cm、体重68kg。体温36.5℃。脈拍84/分、整。血圧118/62mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。腹部全体に軽度の圧痛を認める。筋性防御を認めない。
大腸内視鏡写真(S状結腸)(別冊No.17A)と新鮮便の顕微鏡写真(別冊No.17B)とを別に示す。
治療薬として適切なのはどれか。
a.アンホテリシンB
b.エリスロマイシン
c.カナマイシン
d.ガンシクロビル
e.メトロニダゾール


正答の理由
インド旅行から1か月後に左下腹部痛と粘血便が出て、S状結腸に白苔を伴う不整形のびらん・潰瘍があり、新鮮便に大型の原虫様の細胞がみられます。腸アメーバ症(アメーバ赤痢)に合い、症状のある例の治療は経口のチニダゾール、メトロニダゾール、セクニダゾール、オルニダゾールで、その後に腸管内のシストに効く薬(パロモマイシンなど)を続けるとされます。選択肢の中ではメトロニダゾールが当たり、公式正答はeです。
画像の見方
17A:S状結腸の内視鏡像で、発赤した粘膜に白苔を伴う不整形のびらん・潰瘍が多発し、周囲の粘膜はやや浮腫状にみえる。全周性の連続した炎症像や縦走潰瘍は指摘できない。17B:新鮮便の顕微鏡像で、大型で輪郭のはっきりした細胞が数個あり、細胞質内に顆粒状・空胞状の構造を含む。倍率やスケールの記載がなく、赤血球を貪食しているかどうかは図だけからは断定しない。
各選択肢の検討
a.アンホテリシンB。誤り。腸アメーバ症の治療薬として挙げられていません。
b.エリスロマイシン。誤り。腸アメーバ症の治療薬として挙げられていません。
c.カナマイシン。誤り。腸アメーバ症の治療薬として挙げられていません。
d.ガンシクロビル。誤り。腸アメーバ症の治療薬として挙げられていません。
e.メトロニダゾール。正しい。症状のある腸アメーバ症の治療に用いられ、その後に腸管内のシストに効く薬を続けます。
覚えるポイント
熱帯・亜熱帯からの帰国後の粘血便+潰瘍=アメーバ赤痢。治療はメトロニダゾールなどの後にシスト駆除薬。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。