第102回医師国家試験 I64(2008年)
正答:a・c
問題
54歳の男性。全身の皮疹と倦怠感とを主訴に来院した。1か月前から顔面、体幹および四肢に紅斑が出現し、徐々に拡大し、全身倦怠感を伴ってきた。
上眼瞼と四肢関節の背面とを中心に紅斑がみられる。
膝部の写真(別冊No.12A)と同部の病理組織H-E染色標本(別冊No.12B)とを別に示す。
第一選択の治療を開始する際、患者に伝えておくべき副作用はどれか。2つ選べ。
a.胃潰瘍
b.骨髄障害
c.骨粗鬆症
d.腎機能障害
e.アナフィラキシー


正答の理由
上眼瞼と四肢関節背面の紅斑、膝伸側の鱗屑を伴う紅斑という分布で、病理では表皮基底層の空胞変性と真皮浅層の単核球浸潤がみられます。皮膚筋炎に合う所見で、特発性炎症性筋疾患の初期治療として第一選択になるのは副腎皮質ステロイドです。グルココルチコイドの長期使用は二次性骨粗鬆症の原因に挙げられ、消化性潰瘍の原因となる医薬品としてもステロイド剤が挙げられています。2つ選ぶ公式正答はa・cです。
画像の見方
12A:両膝の伸側(膝蓋部)に、鱗屑を伴う淡紅色から紅色の紅斑が左右ほぼ対称にみられる。潰瘍や水疱はない。12B:H-E染色で角層が網状に浮き上がり、表皮は菲薄化し、基底層付近に空胞変性と核の濃縮した細胞を認める。真皮浅層には軽度の単核球浸潤がある。倍率とスケールの記載がないため細胞の種類までは図から断定しない。
各選択肢の検討
a.胃潰瘍。正しい。消化性潰瘍の原因になる医薬品としてステロイド剤が挙げられ、副腎皮質ステロイド薬では投与開始から潰瘍形成までが比較的短く、潰瘍を発症した症例の25%が服用開始後1か月以内、50%が3か月以内だったと報告されています。
b.骨髄障害。誤り。第一選択であるステロイドを始める際に説明すべき代表的副作用として挙げられていません。血球減少が問題になるのは、ステロイドと併用されるメトトレキサートやアザチオプリンなどの免疫抑制薬です。
c.骨粗鬆症。正しい。グルココルチコイドの慢性使用は二次性骨粗鬆症の原因として挙げられ、骨粗鬆症に関連する骨折で最も多いのは胸腰椎の圧迫骨折とされます。
d.腎機能障害。誤り。ステロイドを始める際に伝えるべき代表的副作用として挙げられていません。
e.アナフィラキシー。誤り。経口ステロイドを開始する際にあらかじめ説明すべき代表的副作用ではありません。
覚えるポイント
皮膚筋炎の第一選択はステロイド。開始前に消化性潰瘍と骨粗鬆症を説明する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- Idiopathic Inflammatory Myopathies – Rheumatology and Orthopedics – MSD Manual Professional Edition
- 重篤副作用疾患別対応マニュアル 消化性潰瘍(令和3年4月改定)
- Osteoporosis – Rheumatology and Orthopedics – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。