第102回医師国家試験 I40(2008年)
正答:b・d
問題
騒音性難聴について正しいのはどれか。2つ選べ。
a.伝音難聴である。
b.前庭機能障害はみられない。
c.低周波音曝露で発生しやすい。
d.高音域の聴力低下が特徴である。
e.騒音曝露を中止すると改善する。
正答の理由
公式正答はbとdです。騒音性難聴は85 dBを超える騒音への慢性曝露によってCorti器の有毛細胞が失われることで生じる感音難聴で、聴力低下はまず4 kHzに現れ、曝露が続くと上下の周波数へ広がります。障害されるのは蝸牛の聴覚系であり、職業性の難聴は永続的です。なお、著しい騒音を発する場所における業務による難聴等の耳の疾患は、労働基準法施行規則別表第1の2第2号11に業務上疾病として挙げられています。
各選択肢の検討
a.伝音難聴である。誤り。騒音はCorti器の有毛細胞を失わせる感音難聴を起こします。伝音難聴は外耳・中耳の障害で生じるもので、機序が異なります。
b.前庭機能障害はみられない。正しく、これが正答の一つ。騒音による障害はCorti器の有毛細胞と聴神経・そのシナプスに起こる蝸牛(聴覚系)の病変であり、前庭の障害は挙げられていません。
c.低周波音曝露で発生しやすい。誤り。問題となるのは85 dBを超える大きな騒音への慢性曝露で、聴力低下はまず4 kHzという高い周波数に現れます。低周波音の曝露で起こりやすいという記載はありません。
d.高音域の聴力低下が特徴である。正しく、これが正答の一つ。聴力低下は典型的にまず4 kHzで起こり、曝露が続くとより低い周波数と高い周波数へ広がります。他の感音難聴と異なり8 kHzでの低下が4 kHzより軽いことがある点も特徴です。
e.騒音曝露を中止すると改善する。誤り。騒音の反復曝露で失われるのはCorti器の有毛細胞であり、職業性難聴は予防可能ですが永続的(permanent)であるとされています。
覚えるポイント
騒音性難聴は85 dB超の慢性曝露による感音難聴で、4 kHzから始まる高音域の低下が特徴。いったん生じると永続的で、障害されるのは蝸牛。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。