第102回医師国家試験 I39(2008年)
正答:b
問題
チアノーゼを起こすのはどれか。
a.頸肩腕障害
b.過敏性肺臓炎
c.一酸化炭素中毒
d.メチル水銀中毒
e.ポリ塩化ビフェニル〈PCB〉中毒
正答の理由
公式正答はbです。チアノーゼは血液中の還元ヘモグロビンが増えることで生じるため、ガス交換障害による低酸素血症をきたす疾患で問題になります。過敏性肺臓炎は吸入抗原に対する過敏反応で間質に炎症と肉芽腫、長期には線維化を生じ、肺拡散能の低下と低酸素血症をきたします。
各選択肢の検討
a.頸肩腕障害。誤り。労働基準法施行規則別表第1の2第3号4に「上肢に過度の負担のかかる業務による後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕又は手指の運動器障害」として定められた運動器の障害で、ガス交換には影響しません。
b.過敏性肺臓炎。正しく、これが正答。進行した例では拘束性換気障害と肺拡散能(DLCO)低下をきたし、労作時低酸素血症から安静時の低酸素血症へ進みます。急性期には抗原曝露の4〜8時間後に発熱・悪寒・咳と呼吸困難が生じ、頻呼吸と吸気時の捻髪音がみられます。
c.一酸化炭素中毒。誤り。一酸化炭素中毒の「古典的な徴候」とされる鮮紅色の口唇、末梢チアノーゼ、網膜出血は実際にはまれにしかみられないと記載されています。カルボキシヘモグロビンは正常ヘモグロビンと区別されないため、パルスオキシメータは偽高値を示します。
d.メチル水銀中毒。誤り。メチル水銀の標的臓器は中枢神経系で、水俣病では感覚障害、視野狭窄、運動失調、聴力障害、構音障害といった神経症状が現れます。
e.ポリ塩化ビフェニル〈PCB〉中毒。誤り。カネミ油症では全身倦怠感、頭痛、腹痛、四肢のしびれ・痛み、関節腫脹・関節痛、咳・痰などがみられ、最も特徴的な所見は塩素ざ瘡(クロルアクネ)と色素沈着です。
覚えるポイント
チアノーゼは還元ヘモグロビンの増加で生じるので、低酸素血症をきたす肺疾患で考える。CO中毒は鮮紅色が有名だがチアノーゼは実際にはまれで、SpO₂も偽高値になる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- Hypersensitivity Pneumonitis
- Carbon monoxide poisoning (acute)
- Neurological and Neurocognitive Impairments in Adults with a History of Prenatal Methylmercury Poisoning: Minamata Disease
- Aryl Hydrocarbon Receptor and Dioxin-Related Health Hazards—Lessons from Yusho
- 労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)
- Carbon Monoxide Poisoning
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。