第102回医師国家試験 I37(2008年)
正答:c・e
問題
ブドウ球菌食中毒について正しいのはどれか。2つ選べ。
a.食品の加熱で予防する。
b.患者には抗菌薬を投与する。
c.予防には使い捨て手袋が用いられる。
d.魚介類が原因食品であることが多い。
e.食中毒またはその疑いと診断した場合、直ちに保健所に届け出る。
正答の理由
公式正答はcとeです。ブドウ球菌食中毒は、食品中であらかじめ産生された耐熱性のブドウ球菌エンテロトキシンを摂取して起こります。黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚に常在し、調理者が手をよく洗わずに食品に触れることで汚染が起こるため、手指からの汚染を断つことが予防の要です。また食中毒またはその疑いと診断した医師には、食品衛生法に基づく届出義務があります。
各選択肢の検討
a.食品の加熱で予防する。誤り。原因は菌そのものではなく、食品中に産生済みの耐熱性エンテロトキシンです。加熱で菌を殺しても毒素は残るため、加熱だけでは予防になりません。
b.患者には抗菌薬を投与する。誤り。治療は水分・電解質の補給を中心とした支持療法が基本で、抗菌薬の適応はありません(antibiotics are not indicated)。
c.予防には使い捨て手袋が用いられる。正しく、これが正答の一つ。黄色ブドウ球菌は皮膚に常在し、調理者が適切に手を洗わずに食品に触れると食品に入り込みます。厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルは、二次汚染の防止として手洗いの徹底を求めたうえで、使い捨て手袋を使用する場合の交換時期を定め、手指等に化膿創がある調理従事者を調理作業に従事させないこととしています。
d.魚介類が原因食品であることが多い。誤り。原因食品として多いのは食肉・鶏肉、乳製品、卵です。
e.食中毒またはその疑いと診断した場合、直ちに保健所に届け出る。正しく、これが正答の一つ。食品衛生法第63条第1項は「食中毒患者等を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない」と定めています。
覚えるポイント
ブドウ球菌食中毒は耐熱性エンテロトキシンによるため加熱では防げず、手指からの汚染を断つ。治療は支持療法のみ。食中毒を診断した医師は直ちに保健所長へ届け出る。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- Staphylococcal Food Poisoning
- Staphylococcal Infections
- 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)
- 「大量調理施設衛生管理マニュアル」の改正について(平成29年6月16日 生食発0616第1号、別添)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。