患者の語りを促す医療面接の応答|第102回医師国家試験H29

第102回医師国家試験 H29(2008年)

正答:e

問題

35歳の女性。前胸部痛を主訴に来院した。1か月前から毎日2、3時間、前胸部に何となく重苦しい感じが続いていた。全身倦怠感を認めたが、不眠はなかった。症状に関して確認し、さらに患者の考えを聞いたところ、「最近いろいろストレスも多いので・・・」と話した。

これに続く医師の発言として適切なのはどれか。

a.「それは問題ないと思います」

b.「ストレスが原因だと思います」

c.「お仕事はストレスになりますか」

d.「ほかに原因として心当たりはありますか」

e.「よろしければもう少し詳しく教えていただけますか」

正答の理由

公式正答はeです。患者は「最近いろいろストレスも多いので・・・」と言いかけたところで、内容はまだ語られていません。Murray and Nadel's Textbook of Respiratory MedicineのHistory and Physical Examinationの章は、医療面接の目的を(1)情報収集、(2)ラポールの形成、(3)患者の気がかりへの対応、(4)患者教育と整理し、主訴は患者自身の言葉で記録すべきで、医師の解釈を患者固有の気がかりに早々に置き換えてはならないこと、患者が自分の症状とその背景を自ら語るよう促すことが患者中心の面接の基礎であることを述べています。医学教育モデル・コア・カリキュラムもCM-01-02-02で患者の話を傾聴し感情を理解して共感することを掲げています。eは話をそのまま続けてもらう開かれた問いで、この原則に沿います。

各選択肢の検討

a.「それは問題ないと思います」。誤り。まだ内容を聞いていない段階で安心させてしまい、患者の語りを打ち切ります。

b.「ストレスが原因だと思います」。誤り。患者自身の言葉の上に医師の解釈を先に重ねる応答で、上記の章が戒めている置き換えそのものです。

c.「お仕事はストレスになりますか」。誤り。話題を仕事に限定する閉じた問いで、患者が語ろうとしていた内容を医師の側が狭めてしまいます。

d.「ほかに原因として心当たりはありますか」。誤り。語りかけている話題から別の原因探しへ移してしまい、いま語られようとしている内容が聞けません。

e.「よろしければもう少し詳しく教えていただけますか」。正しく、これが正答。患者が自ら語り続けられる開かれた問いで、気がかりの内容をそのまま引き出せます。

覚えるポイント

患者が言いかけたところでは解釈を差し挟まず、「もう少し詳しく」と促して患者自身の言葉で語ってもらう。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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