感冒を契機に反復する喘鳴と息切れ|第102回医師国家試験H27

第102回医師国家試験 H27(2008年)

正答:b

問題

23歳の女性。喘鳴と息切れとを主訴に来院した。1年半前から風邪をひくと喘鳴と息切れとが出現し、風邪が治るといつも消失していた。1週前にも同じ症状が出現し、息切れがこれまでで最も強かったが、週末を挟んで症状が軽減してから受診した。身長154 cm、体重46 kg。体温36.5 ℃。呼吸数16/分。脈拍80/分、整。血圧112/64 mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.41、PaO2 86 Torr、PaCO2 39 Torr。

考えられるのはどれか。

a.急性気管支炎

b.気管支喘息

c.気管支拡張症

d.胸膜炎

e.肺結核

正答の理由

公式正答はbです。MSD ManualのAsthmaの項は、症状が誘因への曝露で誘発され適切な治療で可逆性であること、軽症喘息の患者は増悪と増悪の間は通常無症状であること、年長児や成人では上気道感染(特にライノウイルス)と肺炎がよくある感染性の誘因であることを述べています。本例は1年半前から感冒のたびに喘鳴と息切れが出現し、感冒が治るたびに必ず消失しており、今回も症状が軽減してからの受診で、身体所見も動脈血ガスも正常です。誘因(感冒)に伴って反復し、完全に可逆性である喘鳴と息切れという経過が気管支喘息に合致します。

各選択肢の検討

a.急性気管支炎。誤り。一回ごとの感染エピソードを指す診断で、1年半にわたり感冒のたびに同じ症状が反復するという経過そのものを説明できません。

b.気管支喘息。正しく、これが正答。MSD Manualのいう誘因による反復と発作間欠期の無症状という像に一致します。

c.気管支拡張症。誤り。MSD ManualのBronchiectasisの項は、症状が潜行性に始まって年単位で徐々に悪化し、最も多い初発症状は粘稠でしばしば膿性の喀痰を伴う慢性の咳嗽であるとしています。本例には喀痰の訴えがなく、感冒のたびに出現して感冒が治ると完全に消える経過とも合いません。

d.胸膜炎。誤り。MSD ManualのPleural Effusionの項は、胸膜の炎症では吸気で増強する胸痛と、患側の呼吸音減弱・打診濁音がみられるとしています。本例は胸痛がなく呼吸音も正常です。

e.肺結核。誤り。MSD ManualのTuberculosis (TB)の項は、活動性肺結核では倦怠感・食欲不振・疲労・体重減少が数週間かけて徐々に現れ、慢性の咳嗽が最も多く微熱もよくみられるとしています。感冒のたびに出現し感冒が治ると完全に消える喘鳴という経過とは異なります。

覚えるポイント

感冒などの誘因で喘鳴と息切れが反復し、間欠期には症状も所見も完全に消える経過は気管支喘息を考える。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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