第102回医師国家試験 H23(2008年)
正答:d
問題
40歳の女性。健康診査でコレステロール高値を指摘され来院した。血清総コレステロール324 mg/dl。他に異常を指摘されなかった。自覚症状はない。父親は43歳時に心筋梗塞で死亡している。
診断上重要なのはどれか。
a.頸部触診
b.胸部聴診
c.腹部触診
d.アキレス腱の触診
e.上下肢の動脈の触診
正答の理由
公式正答はdです。40歳で総コレステロール324 mg/dlという著明な高値があり、父親が43歳という若さで心筋梗塞死しています。家族性高コレステロール血症を疑う状況です。MSD ManualのDyslipidemiaの項は、LDLコレステロール高値によりアキレス腱、肘、膝の腱や中手指節関節上に腱黄色腫が生じると述べ、さらに図版の説明で「アキレス腱黄色腫は家族性高コレステロール血症に診断的である」と明記しています。アキレス腱を触診して腱の肥厚や結節を確かめることは、その場で器具なしに行えて診断に直結する診察です。
各選択肢の検討
a.頸部触診。誤り。MSD Manualは甲状腺機能低下症を二次性脂質異常症の原因の一つに挙げており、甲状腺の評価自体に意味はありますが、同項が家族性高コレステロール血症に診断的と明記しているのはアキレス腱黄色腫であり、頸部の触診はそれに代わりません。
b.胸部聴診。誤り。自覚症状がなく、心雑音や呼吸音の異常を疑わせる記載もありません。脂質異常症そのものを診断する所見は得られません。
c.腹部触診。誤り。MSD Manualが腹部の所見として挙げる肝脾腫は中性脂肪が著高(500 mg/dl超)のときのもので、本例の総コレステロール高値から疑う所見ではありません。
d.アキレス腱の触診。正しく、これが正答。MSD Manualはアキレス腱黄色腫が家族性高コレステロール血症に診断的であるとしています。
e.上下肢の動脈の触診。誤り。末梢動脈疾患という合併症の有無はわかりますが、高コレステロール血症の原因診断そのものには結び付きません。
覚えるポイント
若年発症の著明な高コレステロール血症と若年心筋梗塞の家族歴があれば、アキレス腱黄色腫を触診して家族性高コレステロール血症を疑う。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。