第102回医師国家試験 G54(2008年)
正答:e
問題
2歳の男児。生後2か月で胆道閉鎖症と診断され、根治手術が行われた。術後の胆汁排泄は不良で、胆管炎を繰り返し、肝硬変と診断されている。左上腕骨に病的骨折を認める。
補うべき栄養素はどれか。
a.亜鉛
b.セレン
c.ビオチン
d.ビタミンC
e.ビタミンD
正答の理由
公式正答はeです。生後2か月でKasai手術(門脈腸吻合術)を受けたものの術後の胆汁排泄が不良で、胆管炎を繰り返して肝硬変に至っています。MSD ManualのBiliary Atresiaは、術後に持続する胆汁うっ滞・反復する上行性胆管炎・成長体重増加の不良が少なくない患者で問題になること、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の補充を含む栄養療法が成長を支えるうえで非常に重要であると記載しています。MSD ManualのCirrhosisも、肝細胞からの胆汁分泌が減ると腸管内の胆汁が減り、脂肪と脂溶性ビタミンの吸収不良が起こること、ビタミンDの吸収不良は骨粗鬆症に関与しうることを述べています。MSD ManualのVitamin D Deficiency and Dependencyは、吸収不良によってビタミンDが不足しうること、肝機能障害が活性型ビタミンD代謝産物の産生を妨げうること、欠乏は骨の石灰化を障害して小児ではくる病、成人では骨軟化症を生じること、骨軟化症は骨折を起こしやすくすることを記載しています。胆汁うっ滞と肝硬変が続く2歳児に左上腕骨の病的骨折が生じている本例で、補うべき栄養素はビタミンDです。
各選択肢の検討
a.亜鉛。誤り。MSD Manualが胆道閉鎖症術後に補充すべきものとして挙げているのは脂溶性ビタミン(A・D・E・K)であり、亜鉛は含まれていません。本例の病的骨折を説明する栄養素でもありません。
b.セレン。誤り。aと同じく、胆汁うっ滞による脂溶性ビタミンの吸収不良という本例の病態で補充対象として挙げられている栄養素ではありません。
c.ビオチン。誤り。水溶性ビタミンであり、胆汁の減少による脂溶性ビタミンの吸収不良の対象には当たりません。
d.ビタミンC。誤り。水溶性ビタミンであり、MSD Manualが胆道閉鎖症術後の補充対象に挙げる脂溶性ビタミン(A・D・E・K)には含まれません。
e.ビタミンD。正しく、これが正答。MSD Manualは、吸収不良と肝機能障害がビタミンD不足を招くこと、欠乏が骨の石灰化を障害して小児ではくる病を生じ、骨軟化症は骨折を起こしやすくすることを記載しています。
覚えるポイント
胆汁うっ滞が続く児では脂溶性ビタミン(A・D・E・K)が欠乏する。骨折やくる病を見たらビタミンDを補う。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。