第102回医師国家試験 G21(2008年)
正答:c
問題
呼吸ガスモニター上、呼気二酸化炭素濃度が上昇するのはどれか。
a.体温低下
b.肺塞栓症
c.肺胞低換気
d.食道内挿管
e.出血性ショック
正答の理由
呼気終末二酸化炭素分圧(PetCO2)は呼気CO2曲線のうち最もPaCO2に近い値で、通常はPaCO2と2〜5mmHgしか違いません。その値はCO2産生量、肺胞換気量、肺血流(心拍出量)で決まります。肺胞低換気ではCO2の排出が追いつかずPaCO2が上昇し、呼気CO2濃度も上昇します。他の選択肢はいずれもCO2産生低下、死腔増加、肺血流低下、または気管以外への挿管によって呼気CO2が低下する病態です。公式正答はcです。
各選択肢の検討
a.体温低下。誤り。低体温はあらゆる生理機能を緩徐にし、代謝率も低下させます。CO2産生が減るので呼気CO2は上昇しません。
b.肺塞栓症。誤り。肺血流が途絶して換気血流不均等(死腔の増加)が生じるため、PetCO2は低下しPaCO2との較差が開きます。死腔/一回換気量は肺塞栓の評価に用いられます。
c.肺胞低換気。正しい。肺胞換気量が不足するとCO2が貯留してPaCO2が上昇し、これをよく反映するPetCO2も上昇します。
d.食道内挿管。誤り。呼気にはCO2が含まれますが胃内の空気には含まれないため、波形カプノグラフィでCO2が検出されないことが食道内挿管を示す根拠になります。
e.出血性ショック。誤り。心拍出量が低下すると肺への静脈還流が減ってPetCO2は低値となります。CPR中もPetCO2低値は灌流不良の指標とされます。
覚えるポイント
呼気CO2はCO2産生・肺胞換気・肺血流の3つで決まる。上がるのは換気が足りないとき。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- Recent Insights into the Measurement of Carbon Dioxide Concentrations for Clinical Practice in Respiratory Medicine
- Tracheal Intubation – Critical Care Medicine – MSD Manual Professional Edition
- Cardiopulmonary Resuscitation (CPR) in Adults – Critical Care Medicine – MSD Manual Professional Edition
- Hypothermia – Injuries; Poisoning – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。