高齢者の転倒リスクを高める薬剤|第102回医師国家試験G10

第102回医師国家試験 G10(2008年)

正答:a

問題

高齢者の転倒リスクを高めるのはどれか。

a.抗不安薬

b.末梢血管拡張薬

c.高脂血症治療薬

d.尿酸排泄促進薬

e.非ステロイド性抗炎症薬

正答の理由

公式正答はaです。薬剤は高齢者の転倒の主要な危険因子で、いくつもの薬効群が危険を高めますが、転倒と転倒による外傷の双方を増やすものとして最も多く報告されているのは向精神薬です。覚醒度の低下や中枢処理の遅延が機序で、抗うつ薬・抗精神病薬とともにベンゾジアゼピン(抗不安薬・睡眠薬)が代表例として挙げられています。米国CDCのSTEADIも、65歳以上では抗けいれん薬・抗うつ薬・抗精神病薬・ベンゾジアゼピン・オピオイド・鎮静睡眠薬といった向精神薬を点検するよう求めています。なお現在の一覧では「降圧薬(とくに血管拡張薬)」も脳灌流の低下を介して転倒リスクを高めるとされており、bを単純に安全とは言えません。試験としては、向精神薬である抗不安薬が最も強く転倒と結びつく選択肢になります。

各選択肢の検討

a.抗不安薬。正しい、これが正答。ベンゾジアゼピンなどの向精神薬は覚醒度の低下や中枢処理の遅延により転倒リスクを高め、転倒と転倒外傷の双方を増やすものとして最も多く報告されています。

b.末梢血管拡張薬。公式正答ではない。ただし現在の一覧では「降圧薬(とくに血管拡張薬)」が脳灌流障害を介して転倒リスクを高めるとされており、血圧に影響する薬はふらつきや起立性低血圧の原因として点検対象に挙げられています(一覧にあるのは降圧薬としての血管拡張薬で、設問の「末梢血管拡張薬」と同じ薬効群ではありません)。向精神薬ほど一貫して転倒と結びつく群ではない、という位置づけで読みます。

c.高脂血症治療薬。誤り。転倒リスクを高める薬効群の一覧に挙げられていません。

d.尿酸排泄促進薬。誤り。同様に一覧に挙げられていません。

e.非ステロイド性抗炎症薬。誤り。鎮痛薬のうち転倒リスクを高めるとされるのはとくにオピオイドで、非ステロイド性抗炎症薬は挙げられていません。

覚えるポイント

高齢者の転倒リスクを高める薬の筆頭は向精神薬(抗不安薬・抗うつ薬・抗精神病薬・鎮静睡眠薬・オピオイド)。降圧薬・利尿薬も脳灌流低下で危険を高める。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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