第102回医師国家試験 F19(2008年)
正答:d
問題
42歳の男性。腹痛を主訴に来院した。昨日から悪心とともに腹痛が上腹部に出現し、次第に増強しながら右下腹部に限局してきた。身長172 cm、体重67 kg。体温37.6 ℃。脈拍76/分、整。血圧136/72 mmHg。血液所見:赤血球452万、白血球11,800。
腹部所見で認めないのはどれか。
a.圧痛
b.反跳痛
c.筋性防御
d.腹部膨隆
e.腸雑音低下
正答の理由
心窩部から始まり右下腹部に移動して限局する腹痛、悪心、微熱、軽度の白血球増加は急性虫垂炎の典型的な経過です。MSDは虫垂炎の古典的徴候をMcBurney点の圧痛と反跳痛とし、急性腹症の診察では圧痛・筋性防御・反跳痛をいずれも腹膜刺激を示す所見としています。また、強い痛みがあって腹部が静かな(腸雑音の乏しい)状態は腹膜炎を示唆すると記載される一方、腹部膨隆は腸閉塞を強く示唆する所見として別に扱われています。発症翌日で右下腹部に限局した段階の虫垂炎では腹部膨隆は通常みられないため、公式正答はdです。
各選択肢の検討
a.圧痛。誤り。右下腹部(McBurney点)の圧痛は虫垂炎の中心的な所見です。
b.反跳痛。誤り。壁側腹膜への炎症波及を示す所見で、虫垂炎の古典的徴候に挙げられています。
c.筋性防御。誤り。腹壁筋の不随意な収縮で、反跳痛と同じく腹膜刺激を示します。
d.腹部膨隆。正しい。膨隆は腸閉塞や穿孔後の状態を示唆する所見で、限局性の急性虫垂炎では通常認めません。
e.腸雑音低下。誤り。腹膜炎が加わると腹部は静かになり、腸雑音は減弱します。
覚えるポイント
虫垂炎は心窩部から右下腹部へ移動する痛みと限局性の腹膜刺激徴候。腹部膨隆が前面に出るときは腸閉塞や穿孔を考える。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Appendicitis
- MSD Manual Professional Edition: Acute Abdominal Pain
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。