第102回医師国家試験 F2(2008年)
正答:e
問題
施設内倫理委員会の役割に含まれるのはどれか。
a.施設職員の倫理規定の策定
b.施設職員に対する接遇教育
c.地域住民に対する倫理教育
d.施設内の患者に起きた感染事故の原因調査
e.施設内の患者を対象とした研究の倫理審査
正答の理由
出題当時に適用されていた「臨床研究に関する倫理指針」は、倫理審査委員会を「臨床研究の実施又は継続の適否その他臨床研究に関し必要な事項について、被験者の個人の尊厳、人権の尊重その他の倫理的観点及び科学的観点から調査審議するため、臨床研究機関の長の諮問機関として置かれた合議制の機関」と定義し、機関の長に設置を義務づけています。施設内倫理委員会の本来の役割は、その施設の患者を対象とする研究計画の倫理審査です。公式正答はeです。なお現在、人を対象とする医学研究の倫理審査は「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」が定めています。
各選択肢の検討
a.施設職員の倫理規定の策定。誤り。職員が守る規程の制定は施設の管理者(機関の長)や管理部門が行う業務で、指針が倫理審査委員会に求めている調査審議の対象ではありません。
b.施設職員に対する接遇教育。誤り。接遇の研修は職員教育の業務であり、研究計画の倫理的・科学的妥当性を審議する委員会の役割ではありません。
c.地域住民に対する倫理教育。誤り。指針は委員会を機関の長の諮問機関と位置づけており、対外的な住民教育は役割として挙げられていません。
d.施設内の患者に起きた感染事故の原因調査。誤り。院内で起きた事故の原因究明と再発防止は、院内感染対策委員会や医療安全管理の部門が担当します。倫理審査委員会へ報告されるのは、臨床研究で生じた重篤な有害事象などです。
e.施設内の患者を対象とした研究の倫理審査。正しい。指針の定義どおり、臨床研究の実施・継続の適否を倫理的・科学的観点から調査審議するのが倫理審査委員会の役割です。
覚えるポイント
施設内倫理委員会=倫理審査委員会。その施設で行う人を対象とした研究計画の倫理的・科学的妥当性を審査する、機関の長の諮問機関。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- 厚生労働省:臨床研究に関する倫理指針(平成15年7月30日制定、平成16年12月28日全部改正)
- 厚生労働省:研究に関する指針について(医学研究に関する指針一覧)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。