第102回医師国家試験 E4(2008年)
正答:d
問題
尿濃縮のための構造はどれか。
a.糸球体
b.近位尿細管
c.傍糸球体装置
d.Henleのループ
e.メサンギウム細胞
正答の理由
公式正答はdです。Henleのループは下行脚と上行脚が逆向きに並ぶ対向流増幅系を作り、髄質に高い浸透圧勾配を生みます。この勾配があるためにADH存在下の集合管で水が再吸収され、尿が濃縮されます。
各選択肢の検討
a.糸球体。誤り。糸球体は有窓内皮・基底膜・足細胞の濾過スリットからなる濾過装置で、作られる濾液は血漿とほぼ等張です。
b.近位尿細管。誤り。近位尿細管は刷子縁をもちNa+・Cl-・グルコースなどを大量に再吸収しますが、水も一緒に動くほぼ等張性の再吸収で、尿を濃縮しません。
c.傍糸球体装置。誤り。緻密斑と傍糸球体細胞からなり、尿細管糸球体フィードバックとレニン分泌によってGFRと血圧を調節する装置です。
d.Henleのループ。正しい。下行脚でのアクアポリンを介した水の流出と上行脚でのNaClの能動輸送が対向流増幅系を作り、尿素の再循環とあわせて髄質の高浸透圧環境を生みます。
e.メサンギウム細胞。誤り。濾過膜の中にあり収縮して糸球体濾過量を調節する細胞で、濃縮機構には直接関与しません。
覚えるポイント
尿濃縮=Henleループの対向流増幅と直血管の対向流交換で作る髄質浸透圧勾配+ADHによる集合管の水再吸収。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- Anatomy and Physiology 2e, 25.6 Tubular Reabsorption
- Anatomy and Physiology 2e, 25.4 Microscopic Anatomy of the Kidney
- Active salt transport and countercurrent exchange as the basis of urine concentration: a proposal grounded on the microanatomy of the renal medulla
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。