前立腺肥大症(中等症)の薬物療法|第102回医師国家試験D57

第102回医師国家試験 D57(2008年)

正答:c

問題

65歳の男性。排尿困難と夜間頻尿とを主訴に来院した。直腸診で鶏卵大の前立腺を触知するが、硬結は認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球0〜2/1視野、白血球1〜3/1視野。PSA1.2ng/ml(基準4.0以下)。1回排尿量200〜250ml。国際前立腺症状スコア(軽症0〜7、中等症8〜19、重症20〜35)とQOLスコア(別冊No.23)とを別に示す。

対応として適切なのはどれか。

a.抗菌薬投与

b.睡眠薬投与

c.α1遮断薬投与

d.抗男性ホルモン薬投与

e.経尿道的前立腺切除術

別冊No.23 記入済みの国際前立腺症状スコア(I-PSS)とQOLスコアの表。7項目に上から1・1・3・1・2・2・3点が丸で付き、合計欄に13点と記入され、QOLスコアは「不満気味」の4に丸が付いている。
別冊No.23 / 出典:厚生労働省・第102回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

65歳男性の排尿困難と夜間頻尿で、直腸診は鶏卵大の前立腺で硬結がなく、PSA1.2ng/mlと正常、尿沈渣にも感染を示す所見はありません。別冊の記入済みI-PSSは合計13点で、設問が示す区分では中等症(8〜19)にあたり、QOLスコアは4(不満気味)です。MSDは、軽度から中等度の閉塞症状にはα遮断薬(テラゾシン、ドキサゾシン、タムスロシン、アルフゾシンなど)が排尿の問題を減らすとし、手術は薬物療法に反応しない場合や、繰り返す尿路感染・尿路結石・高度の膀胱機能障害・上部尿路拡張などの合併症が生じた場合に行うとしています。公式正答はcです。

画像の見方

記入済みの国際前立腺症状スコア(I-PSS)質問票とQOLスコアの表である。I-PSSの7項目には上から順に1点・1点・3点・1点・2点・2点・3点に丸が付いており、合計すると13点で、「1から7の点合計」欄の手書きの13点と一致する。下段のQOLスコアは「現在の排尿の状態が、今後一生続くとしたらどう感じますか。」に対し「不満気味」の4に丸が付いている。

各選択肢の検討

a.抗菌薬投与。誤り。発熱も膿尿もなく、尿沈渣の白血球は1〜3/1視野で感染を示しません。

b.睡眠薬投与。誤り。夜間頻尿は前立腺肥大による下部尿路症状であり、不眠が原因ではありません。

c.α1遮断薬投与。正しい。前立腺と膀胱頸部の平滑筋をゆるめて尿道抵抗を下げ、中等症の症状に対する薬物療法の中心です。

d.抗男性ホルモン薬投与。誤り。前立腺癌のホルモン療法に用いる薬です。前立腺を縮小させる目的で肥大症に使うのは5α還元酵素阻害薬です。

e.経尿道的前立腺切除術。誤り。薬物療法が効かない場合や合併症が出た場合に行う治療で、未治療の中等症にいきなり選ぶものではありません。

覚えるポイント

I-PSSで中等症(8〜19)の前立腺肥大症はα1遮断薬から。手術は薬が効かないときや合併症があるとき。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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