第102回医師国家試験 D38(2008年)
正答:c
問題
65歳の男性。腹部超音波検査で異常を指摘され来院した。症状は特に認めない。磁気共鳴胆管膵管像〈MRCP〉(別冊No. 11)を別に示す。
診断はどれか。
a.慢性膵炎
b.膵形成異常
c.嚢胞性膵疾患
d.先天性胆道拡張症
e.膵・胆管合流異常症

正答の理由
公式正答はcです。MRCPでは膵に相当する部位に、ぶどうの房のように分葉した強い高信号の集まりがあり、そこから細い管が膵管系へ向かって連続しています。無症状で画像検査で偶然見つかった嚢胞性の膵病変で、膵管系と交通する点は分枝型の膵管内乳頭粘液性腫瘍〈IPMN〉に代表される嚢胞性膵疾患に合致します。IPMNは膵管系との交通が特徴で、横断画像(CT・MRI/MRCP)の普及に伴い、ほとんどが他の目的で行った画像検査で偶然発見されます。
画像の見方
画面左に楕円形の強い高信号(胆嚢に相当)があり、そこから細い管が中央へ向かい、上方の肝内胆管・下方へ向かう管と連なる。胆管に明らかな嚢状・紡錘状の拡張はない。画面右側(患者の左側)の膵に相当する部位に、ぶどうの房のように分葉した強い高信号の集まりがあり、そこから細い高信号の管が中央へ向かって延びている。膵管全体のびまん性拡張、数珠状の不整、結石による陰影欠損は指摘できない。投影像のため、嚢胞の個数・最大径や壁在結節の有無は判断できない。
各選択肢の検討
a.慢性膵炎。誤り。膵管のびまん性拡張や数珠状の不整、膵石、膵実質の石灰化・萎縮といった所見がありません。
b.膵形成異常。誤り。膵管癒合不全などの発生異常は主膵管・副膵管の走行の異常が主体で、房状に集まった嚢胞を説明できません。
c.嚢胞性膵疾患。正しく、これが正答。分葉した房状の嚢胞が細い管で膵管系と連続しており、膵管と交通する嚢胞性腫瘍の像です。
d.先天性胆道拡張症。誤り。総胆管の嚢状・紡錘状の拡張が主所見ですが、本例の胆管に明らかな拡張はありません。
e.膵・胆管合流異常症。誤り。膵管と胆管が十二指腸壁の外で合流する長い共通管が所見の中心ですが、本画像では描出されていません。
覚えるポイント
無症状で偶然見つかり、膵管と交通する房状の嚢胞はIPMNなど嚢胞性膵疾患。膵管の数珠状不整・膵石があれば慢性膵炎。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm (IPMN) of the Pancreas: History, Myths, and Realities Between Past and Future
- Chronic Pancreatitis – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。