第102回医師国家試験 D37(2008年)
正答:a・b
問題
68歳の女性。腹痛を主訴に来院した。3年前から時々食後に右上腹部痛があった。昨日の夕食後にも腹痛があった。体温37.4℃。右季肋部に圧痛を伴う腫瘤を触れる。白血球12,500。CRP 5.8mg/dl。腹部造影CT(別冊No. 10)を別に示す。
考えられるのはどれか。2つ選べ。
a.胆石症
b.胆嚢炎
c.胆嚢腺筋腫症
d.胆嚢腺腫
e.胆嚢癌

正答の理由
公式正答はa・bです。造影CTで胆嚢は壁が全周性に厚く造影され、内腔の背側に高吸収の結石を1個認め、周囲の脂肪織の濃度が上がっています。3年来の食後の右上腹部痛という胆石発作の既往に、発熱・右季肋部の有痛性腫瘤・白血球増多・CRP上昇が加わっており、胆石症と、結石による胆嚢管の閉塞から生じた急性胆嚢炎と考えます。急性胆嚢炎の90%以上は胆石を伴います。
画像の見方
肝右葉の下面に接して胆嚢があり、壁は全周性に厚く、造影効果を伴うリング状にみえる。内腔は低吸収で、その背側(依存側)に境界明瞭な高吸収の円形構造が1個ある。胆嚢の周囲脂肪織は濃度が上がり索状の陰影を伴う。壁から内腔へ突出するポリープ状の隆起や、壁を越えて広がる腫瘤は指摘できない。肝・両腎・膵・大動脈も描出されている。横断1枚のみで、胆嚢管や総胆管の状態は評価できない。
各選択肢の検討
a.胆石症。正しい。CTで胆嚢内腔の背側に高吸収の結石が描出され、食後の右上腹部痛を繰り返した経過とも合います。
b.胆嚢炎。正しい。発熱、右季肋部の圧痛を伴う腫瘤、白血球増多とCRP上昇があり、CTでも胆嚢壁の肥厚と周囲脂肪織の濃度上昇を認めます。
c.胆嚢腺筋腫症。誤り。胆嚢壁の肥厚とRokitansky-Aschoff洞を特徴とする良性の壁肥厚性病変で、通常は急性の発熱や炎症反応上昇を来しません。本例の所見は結石と炎症で説明できます。
d.胆嚢腺腫。誤り。胆嚢ポリープの一種で通常は無症状です。CTに内腔へ突出する隆起性病変は認めません。
e.胆嚢癌。誤り。壁を越えて広がる腫瘤や肝への浸潤を示す所見がなく、1日で生じた急性の経過とも合いません。
覚えるポイント
胆嚢壁肥厚+内腔の高吸収結石+周囲脂肪織の濃度上昇で胆石症+急性胆嚢炎。急性胆嚢炎の90%以上は胆石による。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第102回医師国家試験問題および正答
- Acute Cholecystitis – MSD Manual Professional Edition
- Tumors of the Gallbladder and Bile Ducts – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。