Brugada症候群と植込み型除細動器|第102回医師国家試験A58

第102回医師国家試験 A58(2008年)

正答:d

問題

44歳の男性。深夜に帰宅後、意識を失う発作を繰り返したため搬入された。1か月前から就寝時に時々胸苦しさを自覚していた。最近仕事が忙しく疲れ気味であった。40歳時に健康診断で心電図異常を指摘されていた。家族歴に特記すべきことはない。救急車の中で記録された発作時の心電図(別冊No. 24A)と来院時の安静時心電図(別冊No. 24B)とを別に示す。

対応として適切なのはどれか。

a.β遮断薬投与

b.ベラパミル投与

c.ジギタリス投与

d.除細動器植え込み

e.心臓ペースメーカー植え込み

別冊No. 24A 発作時の心電図。数拍の幅の狭いQRSに続いて、振幅と向きが絶えず変化する幅広く速い頻拍が持続している。
別冊No. 24A / 出典:厚生労働省・第102回A別冊(原本の該当ページ)
別冊No. 24B 来院時の安静時12誘導心電図。V1で高いJ点から下降するST部分に陰性T波が続き、V2でもJ点が持ち上がって陰性T波を伴う。
別冊No. 24B / 出典:厚生労働省・第102回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

深夜に繰り返した意識消失発作の心電図は多形性心室頻拍から心室細動への移行を示し、安静時心電図はV1・V2でJ点とSTが持ち上がり下降して陰性T波が続く、いわゆるcoved型のパターンです。40歳時に心電図異常を指摘されていた点も合います。Brugada症候群では夜間・安静時に多形性心室頻拍や心室細動が起こりやすく、心停止や不整脈によると考えられる失神のある例では植込み型除細動器(ICD)が治療の中心です。公式正答はdです。

画像の見方

写真Aは1秒の目盛りが付された記録で、はじめに数拍の幅の狭いQRS波があり、その後に振幅と向きが拍ごとに変化する幅広く速い頻拍が連続している。拍間隔は不整で、多形性心室頻拍から心室細動に移行した波形に見える。写真Bは12誘導心電図で、V1では高いR'のあとJ点が持ち上がり、そこから下降するST部分に続いて深い陰性T波がある。V2でも小さなrsr'型でJ点が上昇し陰性T波を伴う。Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・aVR・aVL・aVF、V4〜V6に明らかなST上昇はみられない。

各選択肢の検討

a.β遮断薬投与。誤り。β遮断薬はBrugada症候群で不整脈を誘発しうる薬に挙げられており、避けるべき薬です。

b.ベラパミル投与。誤り。確認した資料でBrugada症候群の治療薬として挙げられておらず、心室細動の再発を防ぐ手段になりません。

c.ジギタリス投与。誤り。心不全や心房細動の心拍数調節に用いる薬で、本例の心室性不整脈の予防にはなりません。

d.除細動器植え込み。正しい。type 1のBrugada型心電図があり、持続性心室頻拍・心停止や不整脈性と考えられる失神を伴う例ではICDが標準的な治療です。

e.心臓ペースメーカー植え込み。誤り。徐脈性不整脈の治療であり、心室細動を停止させることはできません。

覚えるポイント

夜間の失神+V1〜V2のcoved型ST上昇=Brugada症候群。症候性ならICD。β遮断薬やナトリウムチャネル遮断薬は発作の誘因になりうる。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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