黒色表皮腫の基礎疾患|第102回医師国家試験A35

第102回医師国家試験 A35(2008年)

正答:b・c

問題

54歳の男性。腋窩と頸部との皮膚のざらつきと痒みとを主訴に来院した。腋窩部の写真(別冊No.4A)と腋窩部皮疹の病理組織H-E染色標本(別冊No.4B)とを別に示す。

基礎疾患として考えられるのはどれか。2つ選べ。

a.肝硬変

b.糖尿病

c.悪性腫瘍

d.悪性貧血

e.Basedow病

別冊No.4A 腋窩部の写真。腋窩から上腕内側にかけて暗褐色〜紫褐色に色素沈着した皮膚が肥厚し、表面は細かい凹凸のある乳頭状を呈する。周囲に有茎性の小丘疹が多発する。
別冊No.4A / 出典:厚生労働省・第102回A別冊(原本の該当ページ)
別冊No.4B 腋窩部皮疹の病理組織H-E染色標本。真皮乳頭が指状に高く突出する乳頭腫症が目立ち、表面は角質が厚い。表皮の肥厚は軽度で、真皮に強い炎症細胞浸潤はみられない。
別冊No.4B / 出典:厚生労働省・第102回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

腋窩と頸部という間擦部に、色素沈着を伴う粗く肥厚したビロード状の皮膚が左右対称に生じ、病理では乳頭腫症と角質増殖が目立ちます。黒色表皮腫(acanthosis nigricans)の典型像です。総説は、黒色表皮腫が乳頭腫症と角質増殖を組織学的特徴とし、肥満・インスリン抵抗性・2型糖尿病などに伴う型と、消化器癌などの内臓悪性腫瘍に伴う悪性型があるとしています。MSDマニュアルも、黒色表皮腫は多くは耐糖能異常の皮膚徴候だが、急速に出現し分布が広い場合は内臓悪性腫瘍を反映しうると述べています。公式正答はb・cです。

画像の見方

4A:腋窩の皮膚が暗褐色〜紫褐色に色素沈着して肥厚し、表面は乳頭状に粗造。周囲に有茎性の小丘疹(軟性線維腫を思わせる)が多発する。4B:指状に伸びた真皮乳頭による乳頭腫症と角質増殖が主体で、表皮肥厚は軽度、真皮の炎症細胞浸潤は目立たない。色素量の増加の有無は本図からは判定しない。

各選択肢の検討

a.肝硬変。誤り。手掌紅斑やクモ状血管腫、女性化乳房などが皮膚徴候で、黒色表皮腫の基礎疾患として挙げられていません。

b.糖尿病。正しい。インスリン抵抗性を伴う肥満や2型糖尿病は黒色表皮腫の最も多い背景です。

c.悪性腫瘍。正しい。胃腺癌をはじめとする消化器癌に伴う悪性黒色表皮腫があり、急速な出現や広い分布は悪性を疑う手がかりです。

d.悪性貧血。誤り。皮膚・粘膜の蒼白や舌炎、神経症状が問題になる疾患で、黒色表皮腫との結び付きは知られていません。

e.Basedow病。誤り。前脛骨粘液水腫や発汗過多などがみられますが、間擦部の黒色表皮腫をきたす基礎疾患ではありません。

覚えるポイント

間擦部のビロード状の色素沈着+肥厚=黒色表皮腫。背景はインスリン抵抗性(肥満・2型糖尿病)が最多で、急速に広く出たら内臓悪性腫瘍を探す。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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